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特集 呼吸とアンチエイジング最前線

老化関連疾患 1)肺炎(誤嚥性肺炎)

山本寛

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.4, 38-43, 2019

わが国は他国と比較しても社会の高齢化が急速に進んでおり,医療費や介護給付費の増大への対策が急務となっている。2016年の簡易生命表,国民生活基礎調査1)に基づく日本人の平均寿命は男性80.98歳,女性87.14歳であり,健康寿命(男性72.14歳,女性74.79歳)との差は男性で8.84年,女性で12.35年となっている。いかにしてこの差を縮め,個人の生活の質(quality of life:QOL)の低下や国の社会保障費の膨張を防いでいくかが喫緊の国民的課題となっている。2016年の国民生活基礎調査1)によれば,日本人が介護を必要とする主な原因は,認知症,脳血管疾患(脳卒中),高齢による衰弱,転倒・骨折,関節疾患であり,呼吸器疾患が要介護状態の原因となるのは2%強に過ぎない。しかし,2016年の肺炎死亡者数119,300名に対し,肺炎罹患者はそれよりはるかに多い年間180万人以上と推計されている。この甚大な発症数を誇る高齢者肺炎を予防することで,高齢者の日常生活活動度(activities of daily living:ADL)の低下を防ぐことができるとすれば,これが健康寿命延伸のための特効薬となる可能性がある。
「KEY WORDS」健康寿命,肺炎,高齢者,認知機能,身体機能

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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