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特集 老化と炎症

加齢と脳血管障害

七田崇

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.3, 37-41, 2019

わが国は高齢化社会を迎え,2017年における高齢化率は27.7%であり,今後も4割程度までに増加することが見込まれている。脳卒中(脳血管障害)はわが国における寝たきりの原因の第1位を占めており,健康寿命の延伸を妨げる主要因の一つとしてあげられる。最近,わが国では脳卒中・循環器病対策基本法が成立し,脳卒中の重症化や再発の防止,高齢者の自立機能の向上を目指した対策が国家レベルで進展するものと考えられる。今後は,脳卒中患者の機能予後を改善するための新しい治療方針の確立が期待されている。
脳卒中において,脳内で引き起こされる炎症は,脳組織の損傷に伴う生体防御のプロセスであると考えられる。炎症は脳浮腫を悪化させ,脳卒中患者の機能予後を悪化させると考えられるため,炎症を標的とした新たな脳卒中治療薬の開発には世界的な期待が高まっている。しかし,脳卒中に対してステロイドや免疫抑制薬の使用は推奨されておらず,炎症を単に抑制するだけでは脳卒中患者の神経機能予後を改善することは難しそうである。古くから知られているように,組織損傷に伴う炎症はその後の組織修復とも密接な関連を有しており,炎症そのものが組織修復の引き金となっている可能性が高い。脳卒中後の神経修復メカニズムは未解明の点が多いが,リハビリ患者や動物実験モデルの解析結果からは,脳卒中後の神経修復は相応にdrasticであることが期待されている。本稿では,老化の視点から,脳卒中における炎症・修復のメカニズムを概説する。
「KEY WORDS」脳血管障害,老化,炎症,DAMPs,神経修復

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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