胆汁酸はコレステロールを材料に肝細胞内で作られ,腸管から再吸収されて再び肝臓に戻る。再吸収されて戻ってきた胆汁酸は,その間に腸管においてさまざまな働きをするとともに,腸管内で主に腸内細菌によって影響を受ける。このように胆汁酸は,肝臓を中心に体内を巡ってその機能を果たし,同時に肝病態に影響している。本稿では,胆汁酸の材料であるコレステロールが過剰に供給された場合に,胆汁酸,腸内細菌叢に生ずる変化とともに,それらの中心である肝臓の病態について解説する。
「KEY WORDS」高コレステロール食,ホメオスタシス,腸内細菌叢,非アルコール性脂肪肝炎,病的老化