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特集 胆汁酸とアンチエイジング

特集にあたって

松﨑靖司渡辺光博

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.2, 19, 2019

「渡辺,今度一緒に,アンチ・エイジング医学の胆汁酸特集をやるぞ」あの張りのある声で連絡がやってきた。松﨑先生はいつもそんな感じ。10年前,海外から帰国した私に,胆汁酸研究会のお誘いを受けたときも,全く同じであった。昨年12月に胆汁酸研究会でお会いしたときも,「本年秋のJDDW 2019ではゴンザレスを呼ぶことにした。有用なのは胆汁酸のアゴニストなのか,アンタゴニストなのか,徹底的に議論。頼むよ(学会HPから聞くことのできる松﨑先生の言葉には胆汁酸への愛が感じられる)」「だから言ったでしょ。数年前にここは我々の研究にとってとても重要になるって」「そうなんだよ,日本における胆汁酸研究をもっと活発にさせていかなきゃならない。来年の春には定年退職するから,そしたらもっともっと研究分野に関わるぞ」とっても嬉しそうに将来の研究展望を語っていた松﨑先生。その1週間後に松﨑先生は帰らぬ人となった(享年64歳)。その一報をメールで知ったとき,私はすべてから目を背けた。メールにも返信できなかった(そのため執筆者の先生への連絡が遅れてしまって,申し訳ありませんでした)。受け入れられなかった。今回のこの原稿だってギリギリになってしまった。1月に筑波で行われたお別れ会だって,家を出るとき迷った。つくばエクスプレスに乗るときも,つくば駅に着いたときも引き返そうと思った。会場に着き,写真を見たときに涙が止まらなく出た。最近は講演などで好んでジーパンを着用していた松﨑先生に「何ですか,その格好?」と言ったこともある。私もお別れ会にジーパンで来りゃよかった。私と松﨑先生の関係はそれほど長くなく,長年,戦友として日本の胆汁酸研究に貢献してきた,多くの先輩たちに申し訳なく思うが,私にとっても松﨑先生は心の奥に存在する人である。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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