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特集 温故知新の医療技術「ワクチン」

認知症・生活習慣病を標的とした治療ワクチン

中神啓徳森下竜一

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.1, 55-59, 2019

ワクチンは,感染症などに対する予防治療として古くから活用されている治療法であるが,この治療技術をアルツハイマー病などの慢性炎症疾患治療に応用する研究の実用化が進んでいる。アミロイドβやタウ蛋白を標的とした認知症ワクチン,レニン・アンジオテンシン系を標的とした高血圧ワクチンがその代表である。これらは予防を目的としたワクチンではなく,疾患治療を目的とした治療ワクチンであり,将来的に内服薬から年に数回のワクチンによる治療の実現を目指している。超高齢社会を迎えたわが国において,社会保障費の増加が社会問題とされており,そのためには右肩上がりに増加する医療費を医療の質を保ちながらも抑制していくことが求められている。多くの国民が罹患している疾患の予防あるいは早期治療介入を行い,生涯治療の薬剤を少しでも減らすことができれば,医療費削減に大きく寄与できる可能性がある。加えて,ワクチン治療の臨床的メリットとして,薬剤アドヒアランスの改善があげられる。特に高齢者における薬の多剤併用(ポリファーマシー)の増加により,飲み忘れや服薬管理の必要性が高い患者が増加しており,薬剤を減らすことによって得られる社会的なメリットは大きいと考えられる。
本稿では,認知症,高血圧などに対する治療ワクチンの臨床開発に向けた研究を中心に概説する。
「KEY WORDS」認知症,高血圧,ワクチン,アンジオテンシンⅡ,薬剤アドヒアランス

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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