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特集 温故知新の医療技術「ワクチン」

インフルエンザワクチンの現状と次世代ワクチン

長谷川秀樹

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.1, 33-38, 2019

季節性インフルエンザは毎年冬に流行し,ワクチンが使われているにもかかわらず多くの感染者を出している。また,2009年の豚インフルエンザウイルスが発端となったパンデミックインフルエンザウイルスA/H1N1/pdm09の出現は,インフルエンザウイルスの感染力の強さと広がりの速さ,流行阻止の難しさを浮き彫りにした。当時,多くの水際での阻止に向けた取り組みがなされたにもかかわらず,国内でも流行が広がり,そのウイルスは現在では季節性インフルエンザウイルスの一つとしてヒトの間で流行を繰り返している。インフルエンザの流行予防には効果の高いワクチンが不可欠である。現在インフルエンザ予防には,発育鶏卵で増殖させたウイルス粒子をエーテル処理したスプリットワクチンが用いられ,皮下接種されている。しかし,現行のインフルエンザワクチンは必ずしも感染防御に有効ではなく,さらに新型インフルエンザにおいてはその流行株の予測が難しく,流行株予測に基づく特異性の高い現行の季節性インフルエンザワクチンと同じ接種方法ではその効果に限界がある。そのため,毎年国内で数千万人がワクチンを接種しても,季節性インフルエンザの流行は一向に収まらず毎年やってくる。そこで,さらに改良された次世代のワクチンが必要とされ,より効果の高いワクチンの開発が望まれている。インフルエンザのような上気道の粘膜に病原体が侵入し感染する急性呼吸器感染症では,粘膜上に誘導される粘膜免疫,特に分泌型のIgA抗体の働きが感染予防に重要な意味をもつ。本稿では,インフルエンザワクチンの現状と,次世代ワクチンとしての粘膜免疫誘導による経鼻インフルエンザワクチンの開発について概説する。
「KEY WORDS」経鼻インフルエンザワクチン,粘膜免疫,分泌型IgA抗体,交叉防御

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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