特集 臨床医のアンチエイジング医療最前線
開業医が導入しやすいアンチエイジング医療の検査と治療
アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.6, 62-67, 2018
一般的な健康診断や人間ドックの目的は病気の早期診断であるが,主に病気以前の健康状態を評価するのがアンチエイジング検査/ドックであり,本来的にはその結果を踏まえた上で行われるのがアンチエイジング治療である。つまり,アンチエイジング医療は,健康のレベルを下げているウイークポイントや病気の芽を検査で洗い出し,生活習慣の改善指導や治療によりその進展を抑え,QOLを高めながら人生を歩んでいくために実施されるものである。個々の健康寿命の延伸とともに,社会的にも医療費の削減や介護問題の解決に大きく寄与するため,超高齢化社会を迎えた今日,最前線で医療を支える開業医の日々の臨床に組み込まれていくことが望まれる。
アンチエイジング医療では,健診やドック,保険診療での検査や治療とは視点が異なることが多いことから,保険適応外のものが主体になりがちである。そのため,混合診療抵触について留意しながら,担当医の専門性や考えに沿った検査や治療の導入を検討していくことになる。その際,手間暇や機材の導入コスト,検査スペースを考慮すると外注検査が望ましいが,すぐに結果が出る院内検査も考慮したいところである。院内検査の迅速性は,受診者を治療のレールに乗せて継続受診につなげる一助になるであろう。
アンチエイジングドックというと,血管や骨,神経,ホルモンといった臓器や生理機能系などについて網羅的に組み込むことが多い。しかし,これは開業医では導入のハードルが高いことから,健康レベルを下げている原因やリスク要因に視点を置き,まずは担当医のコンセプトに沿ったカテゴリー(たとえば,酸化・糖化,動脈硬化,がん,美容などに特化)に絞って始めてみる方法も推奨できる。治療については生活習慣の改善指導は欠かせず,しばしば用いられるサプリメントについてはその領域にリンクしたものが主体になるであろう。
本稿では,表1に示すカテゴリー中の主な検査について解説するとともに,開業医が導入しやすい治療を提案する。
「KEY WORDS」酸化ストレス,糖化ストレス,MCG,マイクロRNA,軽度認知障害,分子整合栄養医学
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。