<< 一覧に戻る

特集 食品の糖化,生体の糖化,抗糖化

指尖を用いた経皮蛍光測定の臨床的意義

山中幹宏永井竜児

アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.5, 37-44, 2018

AGEs(advanced glycation end products)は,カルボニル基を有する還元糖とタンパク質のもつアミノ基,もしくはシステインのチオール基が縮合反応を起こした後,アマドリ転位物の生成を経て,さらに酸化,縮合,脱水などのプロセスを経た結果,不可逆的に生じる化学物質の総称である。その一連の反応は,発見者の名前にちなんでメイラード反応,もしくはアミノカルボニル反応と呼ばれるが,最近はより簡便に糖化とも呼ばれている。本反応は,1912年にLouis Camille Maillardにより報告されたが,たとえば,日本の伝統的保存食品として1,000年以上前から食されている味噌や醤油の褐色もAGEs(メラノイジン)に由来していることから,AGEsは食品加工の分野において我々の食卓に深く関与している。およそ30年前より,生体内で生成されるAGEsがさまざまな健康障害に関与している可能性が報告されはじめ,食品とは異なり,生体におけるAGEsの研究が多く報告されてきた1)2)。しかし,対象となるAGEsの化学構造が明確ではなかったため,その生成機序や作用機序は推測にとどまっていることが多い。現時点では,構造が既知のAGEsは40種類程度が報告されている3)。AGEsの化学構造や精密定量を可能にする質量分析装置を用いた研究は,NagaiらのグループやThornalleyらのグループなどによって数多くの報告があり4)-6),生体内で如何なるAGEsが,どのような挙動をとっているのかが明らかになりはじめている。質量分析法は定量性,検出感度の高さ,複数のAGEを同時に測定できるといった他にない優れた測定方法であるが,装置が高額であること,ランニングコストの問題,測定技術の習得に多大な時間を要するなど,運用上のハードルが高いことが課題となり,専門性の高い研究機関でないと利用が困難な状況である。
「KEY WORDS」AGEs,糖化,指尖経皮蛍光,糖尿病合併症,AGEsセンサ

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る