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特集 リンパ管からみたアンチエイジング

老年性リンパ浮腫の外科的治療:リンパ管静脈吻合は有効か?

光嶋勲吉田周平山下修二佐々木彩乃永松将吾横田和典

アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.2, 53-58, 2018

リンパ浮腫は進行性とされ,その治療も保存的(マッサ-ジ,圧迫)療法と外科的治療法(組織切除,直接的または間接的リンパ誘導術)1)2)などが行われてきたが,長期間にわたる浮腫増悪の予防や著明な改善は困難とされてきた。また一方,1990年頃から0.3~0.8mmの超微小神経血管吻合術(super-microsurgery)が可能となり,新しいリンパ管吻合もなされている3)-6)。このリンパ管と静脈をつなぐリンパ管(細)静脈吻合術(lymphatico-venular anastomosis:LVA)3)-6)を1990年以来,約2,000例(上肢リンパ浮腫300例,下肢1,700例)に対して試みてきた。その結果,軽症例では浮腫の改善や完治が得られ,重症例の治療も機能的リンパ管(節)移植法を含めた合併外科治療法が確立されつつある7)8)。また,2007年以後,インドシアニングリーン(ICG)蛍光造影法9)で非顕性(潜在性)浮腫の診断が可能となり,骨盤内リンパ嚢胞などを含めた浮腫早期(0期)例や放射線照射群の浮腫予防も可能となりつつある。
さて,老年性下肢リンパ浮腫は最近重症例が増加しつつあり,積極的な治療法の確立が待たれている。今回は,本疾患を70歳以上で,明らかな内臓疾患を有さず,四肢の浮腫が進行性であるものと規定した。この疾患は通常,複合理学療法がなされるが,老年の患者では徹底した理学療法が難しいことも多く,進行性で重症化するものも多い。このような圧迫療法不可例や無効例に対し,LVAは圧迫療法を軽減でき,蜂窩織炎の発生を減少させ,術後長期にわたり浮腫が重症化しないことが知られている。特に浮腫発生後早期で軽症のものでは,その効果は著明である2)-8)。これまで老年性リンパ浮腫に対するLVAの効果は述べられていない。本稿では,老年性特発性リンパ浮腫の特徴と外科治療法に関しても述べる。
「KEY WORDS」リンパ浮腫,老年性リンパ浮腫,リンパ管(細)静脈吻合術(LVA),水疱性リンパ浮腫,炎症性リンパ浮腫,廃用性浮腫,致死性リンパ浮腫

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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