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特集 腸とアンチエイジング

脂肪酸代謝と腸内環境

宮本潤基中谷明穂木村郁夫

アンチ・エイジング医学 Vol.14 No.1, 30-35, 2018

わが国をはじめ,世界的にも超高齢化社会を迎えた今日,加齢関連疾患を対象とした抗加齢医学(アンチエイジング医学)がますます脚光を浴びている。特に,食事中のカロリーを制限することで寿命延長作用が期待される “カロリーリストリクション仮説” における研究が,エビデンスに基づいて積極的に議論されている。また最近では,加齢に伴う腸内細菌叢の変化も注目を集めており,次世代シークエンサーを用いた健常な日本人の年齢ごとにおける網羅的な腸内細菌叢の解析の結果,乳幼児期に最優先菌であるActinobacteria門が離乳後は劇的に減少し,60歳以上の高齢者ではProteobacteria門の占有率が顕著に増加することが明らかにされた1)。特に,Proteobacteria門に属するような菌種は,種々の疾患の発症に関与することも示されており,加齢に伴う腸内細菌叢の変化が,高齢者の加齢関連疾患発症に寄与する可能性も示唆された。
「KEY WORDS」腸内細菌,腸内細菌代謝物,脂肪酸代謝,肥満,GPCRs

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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