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特集 プレシジョン・メディシンとアンチエイジング

運動器疾患とプレシジョン・メディシン

王晨尭渡辺研

アンチ・エイジング医学 Vol.13 No.5, 55-60, 2017

高齢社会において最も大きな社会問題の一つとしてあげられるのが介護の問題である。平成28年度の国民生活基礎調査では,介護が必要となった主な原因の構成割合として,骨折・転倒(10.8%)と関節疾患(7.0%)であり,要介護の前段階ともいえる要支援の原因においてはこれらの運動器疾患が最上位となっている。特に高齢者の日常生活動作(activities of daily living:ADL)を妨げる三大運動器疾患は,変形性関節症,骨折(骨粗鬆症),変形性腰椎症である。東京大学22世紀医療センターのROAD studyによる有病率からの推定患者数は,変形性膝関節症では2,530万人,骨粗鬆症1,280万人,変形性腰椎症3,790万人と報告されている1)。これらの疾患はcommon diseasesであり,まさに国民病ともいえる。これらの疾患をいかに予防・克服し,減らしていくかが高齢者のQOLの向上と,医療および介護における最重要課題の一つといえる。
「KEY WORDS」運動器疾患/ゲノムワイド関連解析/骨粗鬆症/変形性関節症/サルコペニア

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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