ゲノムワイド関連(相関)解析(genome-wide association study:GWAS)が導入された後,2型糖尿病に関しては,すでに100ヵ所を超える関連ゲノム領域が同定されており,ゲノム情報を用いた発症リスク診断の試みもなされている。一方,糖尿病治療薬に対する反応性,副作用,網膜症や腎症などの糖尿病合併症疾患感受性に関わるゲノム情報は,糖尿病診療にとって極めて重要であり,糖尿病に関するプレシジョン・メディシン構築には不可欠のものと考えられる。しかしながら,糖尿病合併症GWAS に関しては遺伝要因の関与が強く示唆されているにもかかわらず,2型糖尿病GWAS 程の成果は得られていないのが現状である。また,糖尿病治療薬に対する応答性に関しても,臨床応用できる情報はほとんど得られていない。本稿では,2型糖尿病および糖尿病合併症のゲノム解析研究の進歩と今後の課題について,最新の知見をふまえて概説する。
「KEY WORDS」TCF7L2/KCNQ1/ACACB/糖尿病腎症/糖尿病網膜症
「KEY WORDS」TCF7L2/KCNQ1/ACACB/糖尿病腎症/糖尿病網膜症