2003年にヒトゲノムプロジェクトが完了してから特に脚光を浴びるようになったエピゲノムであるが,エピゲノムという概念そのものの歴史は古く,1942年にWaddingtonが提唱したことに端を発しており,当初は「発生過程においてゲノム情報が表現型を生じる過程」という概念的なものであった。現在では,塩基配列によらないゲノム情報の発現制御機構一般のことと定義されており,DNAメチル化,ヒストン修飾といった転写調節機構,マイクロRNA(miRNA)などの非翻訳RNAといった物質としての本体が具体的に明らかになってきた。
「KEY WORDS」DNAメチル化,ヒストン修飾,マイクロRNA,発現制御