特集 エピジェネティクスとアンチエイジング
眼疾患とエピジェネティクス
アンチ・エイジング医学 Vol.12 No.6, 42-47, 2016
エピジェネティクスによる疾患発症機序の解明が進んでおり,眼科分野でも例外ではない。光が眼に入り,その刺激情報が大脳視覚野へ至るまで,どの部位が障害を受けても視力低下を生じるが,眼の各部位に生じる代表的な疾患は,加齢に伴い罹患率が増加する。これら加齢性眼疾患は遺伝的素因のみならず,環境変化が病態へ大きな影響を与えている(図1)。エピジェネティクスとは,DNA配列の変化によらない後天的な遺伝子制御の変化として説明される現象で,分子レベルではDNAメチル化,ヒストン修飾によるクロマチン構造の再構成,非翻訳型RNAなどにより制御されている。DNAメチル化を制御するDNAメチル化酵素(DNA methyltransferase:DNMT)ファミリーは,ゼブラフィッシュの網膜の発生分化に必須である1)。クロマチン再構成を担うヒストンメチル化酵素G9aもまた,マウス網膜前駆細胞の分化と生存に必要である2)。
「KEY WORDS」DNAメチル化,クロマチン再構成,マイクロRNA,血管新生,加齢黄斑変性
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。