特集 エピジェネティクスとアンチエイジング
幹細胞老化とエピジェネティクス
アンチ・エイジング医学 Vol.12 No.6, 18-23, 2016
不老と考えられてきた幹細胞にも寿命があり,幹細胞あるいはそのニッチの加齢変化(ステムセルエイジング)が,機能細胞の供給異常や分化の偏りをもたらし,臓器の機能低下や加齢関連疾患発症へとつながる。この幹細胞の加齢変化は,加齢特性の中でも本質的なものと認識されている1)。したがって,幹細胞システムの頂点にあるステムセルのエイジングから加齢変化をとらえる視点は重要と考えられる。幹細胞はその長い寿命の間にさまざまな老化ストレス(DNA損傷や代謝変化など)に暴露される。老化ストレスは,幹細胞の枯渇や分化・機能異常を引き起こすとともに,遺伝子変異の蓄積を促進し,がん化の危険性を高める。この過程において,幹細胞のエピゲノムも大きく変化することが明らかになりつつある。本稿においては,幹細胞老化とエピジェネティクス,特に造血幹細胞の加齢に伴うエピゲノム変化について,最近の知見を紹介する。
「KEY WORDS」幹細胞,老化,エピジェネティクス,エピゲノム,DNAメチル化,ヒストン修飾
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