「はじめに」近年,日本の人口全体の高齢化に伴い,肝癌症例も高齢化する傾向にある。肝癌の病因として高度線維化,肝炎ウイルス,アルコール,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に加え,高齢化や生活習慣も肝発癌に重要な因子として注目されている1)。実際,全肝癌症例中,75歳以上の高齢者が占める割合は2001年には30%弱であったが,ここ10年で約50%にまで増加してきている(図1)。部位を問わず,加齢とともに発癌リスクは増加することは知られており,加齢と発癌の関係は大きなテーマとして議論されている。かねてから,加齢に伴う老化現象に関しては,寿命とでもいうべきプログラムに従って発現されるという(telomere/program)仮説と,細胞や遺伝子へ障害が蓄積し,その量がある閾値に達したときに老化が生じるという(wear and tear)仮説が議論されている。
「Key Words」肝発癌,酸化ストレス,肝幹細胞,メチル・脱メチル化,テロメア理論
「Key Words」肝発癌,酸化ストレス,肝幹細胞,メチル・脱メチル化,テロメア理論