「肝臓の病的老化と線維化」肝臓は本来再生能力に秀でた臓器であり,たとえば,部分肝切除術後や急性肝炎後のように,一過性の高度な肝重量減少ないしは肝障害が起こった際にも,肝細胞をはじめとする肝構成細胞が速やかに分裂増殖することにより,肝重量を速やかに復旧させることが古くから知られている1)。一方,慢性肝炎に代表される持続的かつ永続的な肝障害においては,持続する肝障害に呼応して肝星細胞の活性化が起こり,活性化肝星細胞から分泌されたコラーゲンなどの細胞外マトリックスが傷害部を充填していくことが明らかになっている。この肝星細胞を介した肝組織への細胞外マトリックスの蓄積が,肝線維化である1)2)。肝線維化は他組織での創傷治癒瘢痕過程と非常にプロセスが似通っており,肝障害における創傷治癒過程と位置づけることができる。
「Key Words」肝線維化,肝星細胞,レニン・アンジオテンシン系,糖尿病治療薬,肝幹細胞
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