「はじめに」ヒトのがんの約50%に変異が認められるがん抑制遺伝子p53は,多種多様な生体ストレスから細胞を守り,がんを防ぐ働きから,Cellular gatekeeperとも呼ばれている。DNA損傷やがん遺伝子の活性化,酸化ストレス,栄養飢餓など,さまざまな刺激を受けて活性化されたp53は,主に細胞周期停止やアポトーシス,細胞老化の誘導を介してその機能を発揮する。さらに近年では,解糖系や酸化的リン酸化,グルタミン代謝,インスリン感受性,核酸代謝,脂肪酸代謝,抗酸化作用,ミトコンドリア品質管理,オートファジーなど多くの細胞内代謝に関与することが明らかになってきた8)。興味深いことに,p53が細胞周期停止やアポトーシス,細胞老化の誘導を引き起こさない場合にも,エネルギー代謝や抗酸化作用の調節を介して,がん抑制機能を発揮することも報告された9)。
「Key Words」anti-aging,energy metabolism,p53,senescence
「Key Words」anti-aging,energy metabolism,p53,senescence