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特集 心臓のアンチエイジング

液性因子による心臓老化の促進と抑制

Promotion and Inhibition of Cardiac Aging by Humoral Factors

藪本千鶴赤澤宏

アンチ・エイジング医学 Vol.11 No.4, 53-59, 2015

「はじめに」老化を制御するシグナル伝達や分子機構の詳細は解明されていない。また,組織の恒常性維持や修復には,細胞や取り巻く微小環境(niche)や全身を循環する液性因子が重要な役割を果たす1)(図1)。老齢マウスと若齢マウスの並体結合(パラビオーシス)2)によって,骨格筋3),肝臓4),中枢神経系5)6)や心臓7)において,老齢マウスの機能低下の改善がみられるという報告が最近あった。このような老化を促進あるいは抑制する液性因子として,補体C1q 8)やTGFβ2 6),CCL11 6),GDF-11 7)などがあげられている。本稿では,心臓に関わる2つの液性因子について紹介する。一つは,加齢や心不全時に増加する老化促進因子-補体C1q8と,もう一つは,加齢による心肥大を抑制する老化抑制因子のGDF-11(growth differentiation factor 11)6)である。これら液性因子がアンチエイジングの創薬のターゲットになりうることが期待される。
「Key Words」パラビオーシス,Wntシグナル,C1q,GDF-11,心不全

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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