特集 心臓のアンチエイジング
特集にあたって
アンチ・エイジング医学 Vol.11 No.4, 17, 2015
心臓にも老化,つまり加齢に伴う不可逆的な退行性変化が生じる。高血圧や動脈硬化などのいわゆる老化関連疾患の重積によって,心不全や心房細動などの心疾患発症のリスクが増大するが,これらの全身性の危険因子が存在しない場合でも,加齢とともに心肥大の罹患率は増加し,心収縮能は保持されるものの拡張能が低下することが疫学研究によって報告されている。しかし一方で,このような心臓の老化は,何がculpritでどのようにして生じるのか,心疾患発症の基盤としてどの程度重要なのか,その機序と役割についてはほとんど明らかになっていないのが現状である。最近,個体老化の分子メカニズムの理解が深まりつつある。心臓の老化にも酸化ストレスやミトコンドリアの機能異常,細胞老化や炎症が関与することが示唆され,新たに同定された老化促進あるいは老化抑制因子の役割も注目を集めている。
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