『「先送り」は生物学的に正しい~究極の生き残る技術』
宮竹貴久 著
(講談社,192ページ,定価840円+税)
ヒトは与えられた境遇の中でどのように生きるのがよいのか,どのように行動することが生物界の摂理に逆らわない自然なやり方なのか? 進化生物学者である著者が,この疑問に明快に答えてくれる一冊である。生き残ったものが進化生物学的には正しい。強いものが生き残る,という単純な話にとどまらない。結果として生き残れたということ自体が正しい,大切なことは生き残ること,と著者は説く。生物の原点,それは「生きる」である。毎日を「生きる」。生き延びなければ明日はない。私たちがご先祖様から遺伝子を受け継ぎ,今この世に存在していることは生物学ではそれ自体がすでに勝者である証だといえる。