「はじめに」睡眠・覚醒や代謝など,さまざまな行動や生理現象にみられる一日周期の生体リズムは概日(がいじつ)リズムと呼ばれ,体内時計の中でもこれらのリズムを制御する自己発振システムを概日時計という。概日リズムは代謝や老化など,さまざまな生理現象と密接に関連している。たとえば,加齢に伴って日内リズムの振動幅の減少,位相の前進,急激な位相変化への適応に要する時間の増加などが起こることが知られている。つまり,概日時計の振幅や位相調節の改善が抗加齢療法の一種となり得ると考えられる。また,概日時計は時を刻む(発振)だけではなく,光や食事などの外界からの環境刺激(入力)によって時刻合わせを行うこともわかっている。
「Key Words」体内時計,概日リズム,メラノプシン発現網膜神経節細胞,非視覚応答,時間制限摂食