「はじめに」わが国の死因の上位を占める心血管疾患(心筋梗塞,脳梗塞など)の主要な原因は,エネルギー収支バランスの崩れによる肥満を基盤として,耐糖能障害,脂質代謝異常,高血圧が一個人に重積する,いわゆるメタボリックシンドロームと考えられる。現代人が抱えるこのエネルギー収支バランスの崩れは,食生活の欧米化(動物性高脂肪,高タンパク食)に加え,社会全般のオートメーション化,自動車の普及などによる身体活動量の低下,すなわち「運動不足」が大きく関与している。骨格筋のエネルギー源としては主にグルコースと脂質が利用されるが,それらの代謝バランスは栄養状態や運動刺激に応じて巧妙にコントロールされている。栄養状態が良好なときには,主にグルコースがエネルギー源として利用されるが,血中遊離脂肪酸が上昇する空腹(飢餓)時や有酸素運動時では,健常な骨格筋においては脂質代謝も亢進している。
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