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特集 見た目のアンチエイジングupdate

6 脂肪細胞・脂肪由来幹細胞と加齢

Adipose Tissue and its Progenitor Cells : Potential Roles in Aging and Regenerative Medicine

吉村浩太郎

アンチ・エイジング医学 Vol.10 No.6, 53-57, 2014

「はじめに」脂肪組織は,エネルギーの貯蔵庫であるだけでなく,さまざまなアディポサイトカインを分泌する内分泌器官である。生活習慣による肥満が多い先進国では,内臓脂肪の機能が障害され,インスリン抵抗性などから,循環器病変も伴いメタボリックシンドロームに発展することが社会的問題となっている。一方,BMIが30を超える肥満が28%と多いオーストラリア女性の平均寿命は82歳(OECD Health Data,2012)と,日本(肥満3%)と近似しており,脂肪過多=肥満が寿命に悪い因子であると一概にはいえない。加齢が進むと,一般的には皮下脂肪組織は萎縮する傾向にあり,皮膚は皮下の支持組織が萎縮したり支持力を失うことにより,陥凹や下垂を生じ,しわやたるみも伴い,外貌は老けてみえるようになる。脂肪吸引術において廃棄される皮下脂肪組織には,豊富に間葉系幹細胞が含まれていることが明らかになり,再生医療における重要な幹(前駆)細胞源として近年注目されるようになった1)。
「Key Words」●前駆細胞 ●脂肪由来幹細胞(ASC) ●血管内皮細胞 ●間質血管細胞群(SVF) ●脂肪移植

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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