【特集 ロコモティブシンドロームとアンチエイジング】
特集にあたって
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.10 No.3 15,
2014
著者名
中村耕三
/
帖佐悦男
記事体裁
抄録
疾患領域
骨・関節
/
アンチエイジング
診療科目
整形外科
/
リハビリテーション科
/
老年科
媒体
アンチ・エイジング医学
運動器疾患に関する新たな言葉として, 2006年に日本整形外科学会, 日本運動器リハビリテーション学会(日本運動器科学会), 日本臨床整形外科医会(日本臨床整形外科学会)の3団体が「高齢化により, バランス能力や移動歩行能力が低下し, 閉じこもりや転倒のリスクが高まった状態」と定義した「運動器不安定症: musculoskeletal ambulation disability symptom complex(MADS)」がある. 運動器不安定症は保険収載された疾患名である. 一方, ロコモティブシンドローム(運動器症候群: ロコモ)は日本整形外科学会が2007年に新たに提唱し, 「ロコモ」の提唱には「人間は運動器に支えられて生きている. 運動器の健康には, 医学的評価と対策が重要であるということを日々意識してほしい」というメッセージがあり, 特定の疾患を示すのではなく運動器の障害全般を指している. 一方, アンチエイジング医学は, 加齢という生物学的プロセスに介入を行い, 加齢に伴う加齢関連疾患の発症確率を下げ, 健康長寿を目指すとしている. 健康寿命の延伸という観点からはいずれも重要であり, 今回の特集を組むに至った. 2013年度に, 将来ロコモになる可能性を判定する「ロコモ度テスト」が発表された. 若い世代にもロコモ予防の大切さを呼びかけるのが狙いである. 是非, 「運動器」を健康に保つことで, 健康寿命延伸につなげてほしいと考えている. さて, 本特集では, 「ロコモ」全般に関して, 提唱の生い立ち, 定義, 疫学や介護に関する概説と「運動器」を取り巻く環境を取り上げた. 運動器を健康に保つことが, 運動器を取り巻くサルコペニアなどさまざまな病態に直結していると考えている. また, ロコモの原因となる関連疾患の概説やロコモの啓発・予防に関する具体的な話題を紹介していただくことで, 「アンチエイジング」と「ロコモ」に関して読者の皆様方に参考になればと思っている. そこで, 本特集は「ロコモ」にまつわるさまざまな話題を取り上げ, 専門家に執筆していただいた. 現場で活躍されている医師やメディカルスタッフのハンドブックとして役立つものと確信している. 最後に, ご多忙のなか, 本特集にご執筆いただいた先生方に改めまして深謝するとともに, 本特集が常にロコモ評価, 予防, 啓発活動時の傍らに置かれ, 読者の皆様方の臨床に即役立つことを祈念し, 序文の挨拶とする.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。