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特集 食欲を科学する

2 インスリンによる摂食調節機構

Insulin-mediated Mechanism for Feeding Regulation

鈴木亮

アンチ・エイジング医学 Vol.10 No.2, 24-27, 2014

「はじめに」 インスリンに食欲を抑える作用があることを初めて示したのは, 1979年にWoodsらがヒヒの脳室内にインスリンを投与した研究であった1). その後, 遺伝子工学の発達によって, 脳におけるインスリン作用が全身のエネルギー代謝に影響を与えることが相次いで証明された. 通常の状態で摂食行動を支配する液性因子は, 脂肪組織から分泌されるレプチンなど, インスリン以外のホルモンが主体と考えられており, 現時点で生理的な血中インスリンレベルの変動が, 食欲そのものに大きな影響を与えるという直接的な証拠はないが, 近年の研究の進展は, 脳におけるインスリンシグナルが摂食行動を司る神経活動をさまざまな過程で修飾していることを示している. 本稿では, インスリンが食欲に与える影響に関して, 主に遺伝子操作動物の表現型に基づいて得られたこれまでの知見を述べる. 「視床下部におけるインスリン作用とレプチン作用のクロストーク」 レプチンは脂肪組織から分泌され, 視床下部などに発現するレプチン受容体を介して食欲を抑え, 末梢でのエネルギー消費を促すホルモンである.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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