編集委員に聞く 日本の知恵を探る
第20回 転ばぬ先の杖―アンジェリーナ・ジョリーの決断―
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.9 No.4 86,
2013
著者名
白澤卓二
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
アンチ・エイジング医学
最近, 米国人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(当時37歳)が米紙ニューヨーク・タイムズへ寄稿した「私の医学的な選択」の中で, BRCA1という癌抑制遺伝子に変異がみつかり, 乳癌の発症予防のために両乳房の全摘手術と再建手術を受けていたことを告白して話題を呼んでいる. BRCA1遺伝子は, 第17番染色体長腕に存在し, ゲノムの安定性を制御する機能があり, 精巣, 胸腺, 乳腺, 卵巣で遺伝子発現を認める癌抑制遺伝子. もしBRCA1遺伝子に変異があると, 高い確率で家族性乳癌を発症することが知られている. ジョリーさんの家系は, まさしく遺伝子変異をもった家系だったのだ. 実際ジョリーさんの母親も10年の乳癌闘病生活を経て, 56歳の若さで他界した. 乳癌で家族性を認める症例は全体の約10%, そのうちの約45%にBRCA1遺伝子に変異が認められると報告されている. また, 乳癌家系の一部には卵巣癌も集積している家系があり, これらの家系では約80%にBRCA1の変異が認められる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。