【特集 細胞老化,臓器老化,組織老化】
幹細胞からみた生殖系の老化
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.9 No.1 30-34,
2013
著者名
篠原美都
/
篠原隆司
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
泌尿器
/
アンチエイジング
診療科目
産婦人科
/
泌尿器科
/
老年科
媒体
アンチ・エイジング医学
「はじめに」男性の生殖年齢は女性に比べて長く, 女性では顕微授精でも妊娠効率が35歳以降急激に低下し, 40歳以降はかなり妊娠が難しくなる一方, 男性では40歳以降は男性ホルモンの緩やかな低下があるものの, 加齢による生殖能力の低下の比率は非常に小さい. その理由は主に, 女性の場合は生まれたときにもっている卵子がすべてであり, 新しく供給されないため加齢に伴って卵子の質が低下するのに対し, 精子は自己複製増殖をする幹細胞から一生にわたって持続的に供給されることにある. 精子幹細胞の精巣内での頻度は低く, マウスでは精巣内の生殖細胞の約0.02~0.03%(細胞数にして2~3万個)といわれている. 限られた数の幹細胞で長い生殖期間を通して莫大な数の精子を毎日産生するために, 精子幹細胞は自己複製増殖により自らの細胞集団を維持している. しかし, 実際のところ, 女性に比べれば男性の生殖能力は長期間維持されるものの, 近年の研究では精子にも中高年になると劣化がみられ, DNA損傷や染色体異常が年齢とともに増加し, たとえば小人症(軟骨形成不全症)の発症率が上昇するという報告もある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。