編集委員に聞く 日本の知恵を探る
第14回 能ある鷹は爪を隠す
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.8 No.3 83,
2012
著者名
白澤卓二
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
/
アンチエイジング
診療科目
一般内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
老年科
媒体
アンチ・エイジング医学
優れた能力の持ち主はそれを他人にひけらかしたりはしないということを, 古くから「能ある鷹は爪を隠す」という. 狩りをする鷹が爪をむき出しにしたのでは逆に獲物に見透かされることから, このような故事が発生したと考えられている. 人間社会で組織のトップに立つと, 部下をどう束ねて業績を上げるか, いつ下から抜かれるかと気の休まる暇がなく, 寿命を縮めるケースも多い. 実際, 能力があっても組織のトップにならずに, 能力を隠してナンバー2を維持することが有利であると生物学的にも証明された. 霊長類のヒヒの場合も, ナンバー1はつらいようだ. ボス猿改めアルファオスは, 群れが安定しているときでさえ, 序列2位のベータオスよりもストレスホルモン濃度がずっと高く, 下位の雄並みという調査結果を, 米プリンストン大学チームが発表した. 研究チームは, ケニアのサバンナに生息する野生のヒヒの行動を9年間観察.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。