総説
糖尿病治療の新しい展開―インクレチン
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.8 No.2 70-75,
2012
著者名
山田 祐一郎
記事体裁
抄録
疾患領域
糖尿病
/
アンチエイジング
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
神経内科
/
老年科
媒体
アンチ・エイジング医学
「糖尿病治療の課題」 糖尿病治療の目標は, 血糖・体重・血圧などのコントロールによって, 糖尿病合併症の発症や進展を抑制し, 糖尿病患者が糖尿病でない方と同様のQOLをもって寿命を全うすることである. なかでも高い血糖値を下げることは, 糖尿病は慢性の高血糖状態を主徴とする疾患群であることを考えても重要であることから, 従来, 糖尿病の治療薬は血糖降下薬といわれている. 血糖コントロールの重要性はさまざまな臨床研究で明らかにされている. たとえば, 新規発症の2型糖尿病を対象にしたUKPDSでは, スルホニル尿素(SU)薬やインスリン製剤を用いた強化療法群と通常療法群を比較すると, 強化療法群でHbA1c値は11%低下し, 特に網膜症など糖尿病の細小血管合併症に関するエンドポイントが25%改善することが示された1). また, UKPDSが終了して10年後をみると, HbA1c値には両群で差がなくなるが, 心筋梗塞の危険性は15%低下し, 発症早期にしっかりと血糖コントロールをすることは, いわば遺産効果として長期予後を改善することが示唆された2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。