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ストレスとホルミシス

第2回 カロリー制限とホルミシス

下川功

アンチ・エイジング医学 Vol.8 No.1, 87-91, 2012

「はじめに」細胞や動物個体は, 低濃度の有害な刺激に対して適応反応を示し, 結果として自身にとって有益な, つまり有害な刺激に対して抵抗性を増すことがある. この現象はプレコンディショニング(preconditioning), ホルミシス(hormesis)などと呼ばれ, さまざまな実験モデルにおいて研究されてきた1). 次号で詳細が論じられるが, マウスやラットの虚血による心筋梗塞モデルでは, 事前に短時間の虚血再灌流操作を加える(プレコンディショニング)と心筋梗塞巣が縮小し, 心機能障害が軽減される2). 植物に含まれるJuglone(5-hydroxy-1,4-naphthalenedion)は, 除草剤や衣服の染料として使用されてきた化合物である. 線虫を用いた実験では, 事前に低濃度のJugloneを与えると, 致死量のJugloneに対して生存率が高くなる3). このホルミシス効果は若い線虫では観察されるが, 老齢の線虫では観察されなかった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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