特集 老化を促進する危険因子としての糖化ストレス
AGEsと肝疾患
アンチ・エイジング医学 Vol.8 No.1, 55-61, 2012
「はじめに」糖尿病(diabetes mellitus: DM)状態では, 生体内で各種終末糖化産物(advanced glycation end-products: AGEs)が促進的に生成・蓄積され, 臓器障害に関わることが報告されている. これまでAGEsは, 生体内において主にグルコースとたんぱく質から生成されると考えられてきたが, 各種抗AGEs抗体を作製して詳細に検討した結果, AGEsはグルコースの代謝中間体や分解物, Maillard反応中間体などからも生成することが明らかになった1)2). また, 生体内で生成される各種AGEsの中でも, 特に糖代謝中間体に由来するグリセルアルデヒド由来AGEs(Glycer-AGEs)がAGEs受容体(receptor for AGEs: RAGE)を介し, DM血管合併症の発症・進展に強く関わっていることを解明した. 最近では, 非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)などの肝疾患にも関与することが示されており, Glycer-AGEs-RAGE系の影響を抑えることがNASHの発症・進展の予防および治療戦略上, 必要なことがわかってきた1)2).
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