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他学会から日本抗加齢医学会へのメッセージ

第8回 日本透析医学会

緒方浩顕秋澤忠男

アンチ・エイジング医学 Vol.7 No.3, 92-93, 2011

はじめに
 腎臓は生存に必須の臓器であり,腎不全状態に陥ると,腎移植を施行するか透析療法を受けなければ死に至ります。日本では,社会的背景もあり移植医療の普及が進んでいないために,ほとんどの腎不全患者が透析療法により治療されています。透析療法は人工腎臓を用いた人工透析療法と患者さんの腹膜を用いた腹膜透析に大別されますが,日本では人工腎臓による人工透析を受けている方が大多数です。
 腎不全の合併症と老化に伴う身体的な変化に類似点が多く指摘されており,腎臓の働きと老化には大きな関連があると考えられています。ここでは,腎臓の働きと腎不全の合併症を解説し,それらと老化との関連について解説します。

腎臓の働きと慢性腎臓病

 腎臓は,ソラマメの形に似た約150gの臓器で,横隔膜下の背側に左右1対あります。一般的なイメージとしては「尿」を作る臓器だと思いますが,それ以外にも多彩の機能を有しています。腎臓の機能を表にまとめました(表1)。

腎臓は,飲水,食事摂取や点滴などで体内に取り込んだ水分や塩分で過剰な分を尿として排泄します。尿を濃縮したり,希釈したりすることにより,排泄する水分量(尿量)を調節します。たとえば,飲水量が少なかったり,大量の汗をかいたり,大量の嘔吐,下痢が原因で脱水状態になると尿を濃縮して少ない尿量で多くの老廃物を排泄しようとします。逆に,過剰な水分を摂取したりすると,希釈された薄い尿が大量に排泄され,体液量を一定に保持するように機能します。
 加えて,腎臓は食物から吸収したタンパクの代謝物を尿中に排泄します。腎機能が低下すると,血液中にこれらの物質が貯留して尿毒素になり,さまざまな合併症の原因になります。その他には,体液を弱アルカリ性に維持する,血圧を調節する,造血ホルモンであるエリスロポエチンを産生する,骨・ミネラル代謝を調節する,など生体に極めて重要な働きをしています。
 さまざまな原因で腎機能は障害されます(表2)。

腎臓は予備能の大きな臓器ですので,腎機能低下が軽微である時期にはほとんど症状がみられません。腎機能の指標にはさまざまなものが用いられていますが,一般的には血液中のクレアチニン(Cr)や尿素窒素(BUN)の濃度が測定されます。検診などで軽度のCrやBUNの上昇や,尿異常(タンパク尿,血尿)で腎臓の異常を指摘されることがほとんどです。近年,原因となる疾患を問わずに慢性的な腎機能障害を慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)と呼び,その重要性が全世界的に注目されています。なぜなら,CKDは放置すれば腎不全に至るだけでなく,心臓や脳血管障害などの疾患のリスクと関連していることが,大規模な研究から明らかされたことが背景にあります。つまり,CKDの早期発見,早期管理・治療が生命予後の改善に結び付くと考えられています。日本におけるCKDの患者さんの数は約1,300万人(成人の約8人に1人)いると推定されており,その対策が急務です。

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