テロメアとテロメレース
生命の設計図に例えられる遺伝子は,染色体の中にコンパクトに折りたたんでしまわれている。この染色体の最末端にはテロメア(ヒトの場合はTTAGGGからなる繰り返し配列)が存在し,種々の内的・外的ストレスから染色体を保護するために非常に強固な機能構造体を形成している。線上の染色体を有する酵母から哺乳動物に至るまで広く種を超えて,染色体末端に存在する機能構造体であるテロメアは,複雑な高次構造をとることで染色体の保護をしている。従来から広く受け入れられてきたモデルである,「分子時計としてのテロメア」の機能以外にも,テロメアはさまざまな生物現象に関わる情報の発信源としての重要性が受け入れられるようになってきた。一方,機能構造体であるテロメアはTRF1,TRF2,Pot1などの重要なテロメア結合タンパク質のみならず,テロメアそのものを伸張する酵素であるテロメレース複合体を含めた多くの維持因子の精巧な連携によってその構造が維持されていることが明らかとなってきた。
全文記事
アンチエイジングのバイオロジー
第6回 テロメレースとがん幹細胞
Telomerase and Cancer Stem Cell
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.7 No.3 80-84,
2011
著者名
増富健吉
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
癌
/
アンチエイジング
診療科目
腫瘍内科
媒体
アンチ・エイジング医学
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。