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誌上ディベート

スタチンを飲む?飲まない?

兒玉和久大櫛陽一

アンチ・エイジング医学 Vol.7 No.3, 69-79, 2011

 今回の話題はスタチンを飲む,飲まない。明らかな高脂血症に対してスタチンを使うことは誰でも異論はないだろう。問題は,ちょっとコレステロール値が高い人,またはほとんど正常な人にアンチエイジング医学的に使うかどうかという問題だ。友人の何人かの内科医が“僕はそれほどコレステロール値は高くないけど飲んでいるよ”というのを聞いて,これはバトルとして取り上げようということになった。まずは,兒玉和久先生と野出孝一先生に“スタチンを飲む”派として論陣を張ってもらった。脂質を下げ,心筋梗塞の一次予防や二次予防だけでなく,酸化ストレスをコントロールし,血糖値にもプラスになるなど,さまざまなメリットをあげている。一方,“スタチンを飲まない”派の論陣は,大櫛陽一先生がストレートに書いてくださった。ACAM(American Collge of Advanced Medicine)でもスタチンの使用について異論があり,エンドポイントとして生存率を上げないことや,大櫛先生が指摘しているN Engl J Medの論文についての疑義が提示されている。プラスの作用点が多いとはいうのも,逆に考えれば作用点が明確ではないともいえる。現時点では結論は出そうにないが,両先生とも,薬に頼ることなく運動して食事に気をつけることが最重要だと述べられていることは共通している。これが基本ですね。

(慶應義塾大学医学部眼科学教室教授,アンチ・エイジング医学編集委員長) 坪田 一男

スタチンを「飲む」

はじめに

 スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の使用の是非について,循環器内科医の立場から論じたい。
 食生活の欧米化に伴い,国民の総コレステロールの平均値はこの40年間に約30mg/dL以上上昇し,高LDLコレステロール(LDL-C)血症など脂質異常症の有病者は3,000万人を超えたと報告されている。我々循環器内科医にとって脂質異常症は,狭心症・心筋梗塞といった虚血性心疾患の3大危険因子の1つである(残り2つは高血圧,糖尿病)。我々は,虚血性心疾患を発症された患者への再発予防(二次予防)のため,スタチンを多く用いている。また,2型糖尿病や高血圧,肥満など多くの冠動脈疾患危険因子をもつ脂質異常症患者にも,虚血性心疾患,脳血管障害などの発症予防(一次予防)のため処方を行っている。もちろん,これらは多くの臨床研究結果に基づいた医療(evidence based medicine:EBM)であり,さまざまな学会で提唱されているガイドライン(表1,図1)1)に基づいたものである。

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