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アディポネクチンとアンチエイジング

5 アディポネクチン/AdipoRと癌の関係からみたアンチエイジング

Anti-aging from the View of the Relation between Adiponectin/adipoR and Cancer

北山丈二日吉雅也

アンチ・エイジング医学 Vol.7 No.3, 39-43, 2011

Summary
 The deaths caused by cancer increase in Japan and become a problem in the aging society. On the other hand, many epidemiological investigations have shown that obesity is the risk factor of various kinds of cancers such as colorectal, breast, endometrium and prostate cancers. The plasma concentrations of adiponectin are reduced in obese individuals, suggesting that adiponectin has anti-carcinogenic properties. Adiponectin binds to two types of receptors, AdipoR1 and AdipoR2, which are widely expressed in various cancer cells, although their expression levels have not fully characterized. Those facts suggest that adiponectin may play a positive role in the development and progression of various types of malignancy.

Key Words
●adiponectin ●adiponectin receptor ●cancer ●AMPK

はじめに

 わが国における死亡原因において,癌は1981年から第1位の座を占めている。2009年の厚生労働省発表の統計においても,癌による死亡数(344,105人)は,死因2位の心疾患(180,745人)と同3位の脳血管疾患(122,350人)を併せた死亡数を上回っている。老化が最も大きな癌の発生要因であるといわれているが,実際に,高齢者の癌の頻度は増加しており,本格的な高齢化社会である日本では大きな問題となっている。
 一方で,肥満と癌に関する疫学的調査が多く報告され,肥満が大腸癌,乳癌,子宮内膜癌などの種々の癌の危険因子であることが認識されてきた。近年,脂肪組織は単にエネルギーを貯蔵するだけでなく,アディポサイトカインという生理活性物質を分泌する機能をもつ内分泌器官であることが明らかになってきている。アディポサイトカインの中でもアディポネクチンは注目されており,これまでに乳癌,子宮内膜癌,前立腺癌,大腸癌,胃癌などが低アディポネクチン血症と密接に関連していると報告されている。さらに近年,癌におけるアディポネクチン受容体(AdipoR)の発現についても,さまざまな臓器で報告されている。本稿では,アディポネクチンおよびAdipoRと癌の関連について消化器癌での報告を中心に,最近の知見を概説する。

アディポネクチンとアディポネクチン受容体

 アディポネクチンは他のアディポサイトカインとは性質が異なり,肥満者においてその血中濃度が低下し,耐糖能改善作用,高動脈降下作用,抗炎症作用をもつという特徴を有している。血中アディポネクチン濃度の低下は,肥満やインスリン耐性との相関があるとされているが,一方で,癌の発生の危険因子であることが多くの疫学的研究により示されている。
 アディポネクチンの受容体としては,特異的結合を指標にした発現クローニング法により,AdipoR1とAdipoR2が同定されている。AdipoR1/R2はアディポネクチンの細胞膜表面への結合に必要であることが示されている。詳細は本誌他項を参照していただきたい。表1に,各種癌組織におけるアディポネクチン受容体の発現について示す。

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