はじめに  糖尿病患者の血管年齢は,非糖尿病者に比べて20年程度老化が進行していることが指摘されている1)。血管壁の老化は,主に血管中膜の弾性繊維の減少による硬化であり,加齢に伴う生理的現象である。しかし,喫煙,高カロリー食摂取,運動不足といった生活習慣に加え,生活習慣病の存在は血管の老化を加速し,さらに病的な変化をもたらす。2型糖尿病患者に伴うことの多いインスリン抵抗性は高インスリン血症をきたし,この過剰なインスリンは血管内皮細胞の寿命を縮め,血管の老化を助長することが知られている。本稿では,アンチエイジングにとって耐糖能障害の克服が重要な鍵を握っている点に注目し,経口ブドウ糖負荷試験による糖尿病の診断について症例を交えて解説する。