写真で学ぶ皮膚科学
知っておきたい水疱症のトピックス
―DPP-4阻害薬による薬剤性水疱性類天疱瘡の予後
皮膚アレルギーフロンティア Vol.19 No.2, 38-39, 2021
DPP-4阻害薬(dipeptidyl peptidase-4 inhibitors:DPP-4i)は,2型糖尿病治療薬として使用されている.低血糖を起こしにくい特徴があり,高齢2型糖尿病患者の第一選択薬として汎用されている1).しかし,DPP-4iを内服している患者に,水疱性類天疱瘡(BP)が発症することが報告され2),新しい薬剤性BPの原因薬として注目されている.
DPP-4iは,T細胞の活性化マーカーであるCD26の阻害作用があるため,軽い免疫抑制作用をもつ3).内服中に薬剤性BPが発症し,診断後に薬剤を中断した後に,抑制されていた免疫が再構築し原疾患が悪化したり,合併症として感染症や自己免疫疾患が生じる症例が少なからずあり,これを免疫再構築症候群(immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)ととらえることができる4).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。