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写真で学ぶアレルギー

これが急性汎発性発疹性膿疱症だ!

川上佳夫

皮膚アレルギーフロンティア Vol.18 No.3, 50, 2020

急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthematous pustulosis;AGEP)は,1991年にRoujeauらが提唱した疾患概念である1).本症は,原因の約90%以上を薬剤が占める2).原因薬剤としては,ペニシリン系,キノロン系,サルファ剤などの抗生剤,一部の抗マラリア薬,一部の抗菌薬,COX-2阻害薬によるものが多い2).AGEPは感染症でも発症することが知られ,パルボウイルスB19,サイトメガロウイルス,マイコプラズマや大腸菌などによる報告がある2).本症は,感作が成立している場合には薬剤摂取から48時間以内に発症するが,抗生剤の場合はさらに短く,24時間以内に発症することが多い.典型例では紅斑・膿疱が頸部,腋窩,鼠径部などの間擦部や下腹部などの圧迫部から始まり,全身に拡大する(図:a).膿疱は非毛孔一致性で,紅斑上に帽針頭大の小膿疱が多発することが特徴的である(図:b).また,38℃以上の発熱を伴うことが多い.血液検査では好中球優位の白血球上昇やCRPの高値がみられ,ときに好酸球増多や肝機能障害がみられることがある.病理検査所見では,角層下膿疱が特徴的であり,表皮内に海綿状膿疱や好中球浸潤がみられることもある2)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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