特集 食物アレルギー
1 オーバービュー:皮膚科における食物アレルギー
皮膚アレルギーフロンティア Vol.18 No.2, 7-12, 2020
食物アレルギー(FA)の感作経路は経皮感作が重要で,乳児アトピー性皮膚炎(AD)におけるFAの合併も,その多くは表皮バリア障害による経皮感作によると考えられる.また,FAのなかには,花粉症と口腔アレルギー症候群,マダニ刺咬と獣肉アレルギーなど,食物そのもの以外の抗原で感作され,交差感作の結果,FAを発症するケースもある.このほか,食物への添加物や混入物が原因のことがあり,仮性アレルゲンなどアレルギー反応ではないものも考慮する必要がある.さらに通常はFAに含めないが,摂取した微量金属によるものなど,即時型でなく遅延型のアレルギー反応が知られ,固定食物疹のような特殊なケースもある.なお,AD患者で食物が悪化因子となることは少ない.まず皮膚症状をしっかり治療し,因果関係が示された場合も食物制限は最小限とすべきである.
「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎,二重抗原曝露仮説,交差感作,仮性アレルゲン,固定疹
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。