発汗異常症によって誘発されるかゆみは,皮膚疾患の成り立ちに密接に関連している.多汗症に関連するかゆみとして,異汗性湿疹(汗疱)と汗疹(あせも)は,どちらも汗管の通過障害により生じる小水疱を主徴とし,瘙痒を伴う.無汗症に関連するかゆみとして,特発性後天性全身性無汗症(AIGA)に合併する減汗性コリン性蕁麻疹については,汗腺周囲で過剰となったアセチルコリンが関与している可能性が指摘されている.対して,汗アレルギー型コリン性蕁麻疹は,汗中のアレルゲンが真皮内に漏出し,IgEを介して間接的に肥満細胞を脱顆粒させる機序が注目されている.最後にアトピー性皮膚炎様皮膚症状を呈する無汗性外胚葉形成不全症について概説する.
「KEY WORDS」異汗性湿疹(汗疱),汗疹(あせも),減汗性コリン性蕁麻疹,汗アレルギー型コリン性蕁麻疹,無汗性外胚葉形成不全症