<< 一覧に戻る

特集 Th17をめぐる皮膚科の病気を語る

5 皮膚真菌症とTh17

常深祐一郎

皮膚アレルギーフロンティア Vol.17 No.2, 33-39, 2019

自然免疫は下等生物から高等生物にまで広く備わった免疫機構である.獲得免疫は外来異物に対して後天的に形成され,高度な特異性と免疫記憶を特徴とし,T細胞受容体とB細胞の産生する抗体が異物を認識する.これらはその遺伝子の再編を行うことにより膨大な多様性を生み出すが,その機構の性質上,発動に時間を要する.これに対して自然免疫は先天的に備わった免疫であり,パターン認識受容体(PRRs)で微生物などに共通する特徴的分子パターンである病原体関連分子パターン(PAMPs)を認識する.PRRsはゲノムにコードされたままの形で利用されるため,病原体の侵入に対して即時に対応できる.真菌に対するPRRsとしてdectinやmincle,Toll様受容体などがあり,β–グルカンなど真菌のPAMPsを認識する.PRRsがPAMPsを認識すると,免疫系が作動し,最終的に抗菌ペプチド産生やケモカインによる好中球動員,上皮細胞のターンオーバー促進により侵入した真菌の排除が始まる.この過程でTh17細胞とその産生するIL-17をはじめとしたサイトカインが重要な伝達役として働く.
「KEY WORDS」真菌,自然免疫,パターン認識受容体(PRRs),病原体関連分子パターン(PAMPs),Th17,IL-17,ケモカイン,好中球,抗菌ペプチド

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る