近年の研究から,フィラグリン遺伝子変異などによる皮膚バリアの機能障害がアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)の原因となり得ることが明らかになってきた.さらに,ADの病態形成で中心的な役割を果たすTh2型サイトカインが,皮膚バリアを弱体化したりかゆみを誘導したりすることが明らかになった.すなわち,皮膚バリア・Th2炎症・かゆみは,各々が相互作用しながら三位一体となってADの病態形成に関与する.また,発症機序に基づくADの新規治療薬の開発も進んできている.本オーバービューでは,ADの発症機序の新たな知見を中心に概説したい.
「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎(AD),フィラグリン,アレルギーマーチ,かゆみ過敏,皮膚バリア