アトピー性皮膚炎と紅斑性病変の多発する皮膚リンパ腫や紅皮症を呈する皮膚リンパ腫の臨床像は類似しており,臨床像と血液検査のみでの鑑別はときに非常に難しい.しかし,これらの疾患の予後は大きく異なり,正確な鑑別が望ましい.最も重要な鑑別点は,真皮に浸潤しているT細胞が皮膚リンパ腫ではCD4陽性に偏っているのに対し,アトピー性皮膚炎ではCD4陽性とCD8陽性が混在している点である.また,組織におけるモノクローナルなT細胞受容体遺伝子再構成の検出も皮膚リンパ腫を示唆する.しかし,実臨床上,精査を行っても皮膚リンパ腫の可能性を除外できない症例もあり,そのような症例では免疫抑制薬の使用を避け,皮膚リンパ腫の可能性を念頭に置きつつ,経過を見ていく必要がある.
「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎,皮膚T細胞リンパ腫,紅皮症,CD4/CD8比,T細胞受容体遺伝子再構成
「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎,皮膚T細胞リンパ腫,紅皮症,CD4/CD8比,T細胞受容体遺伝子再構成