「Summary」汗は以前からアトピー性皮膚炎(AD)の増悪因子として知られ,AD患者は自己汗に対するⅠ型アレルギー反応を高率に示す.ヒト汗中には,AD患者好塩基球に対してヒスタミンを起こす抗原(いわゆる汗抗原)が含まれていることがわかっていたが,物質としては長い間同定されていなかった.われわれは,ヒト汗をAD患者末梢血好塩基球に対するヒスタミン遊離活性を指標として精製し,汗中に含まれるヒスタミン遊離活性物質としてMalassezia globasaが産生するMGL_1304を同定した.汗中に含まれる抗原への対策としては,シャワー浴やタンニン酸含有スキンケア製剤が有効である.
「はじめに」アトピー性皮膚炎(AD)では,症状の季節性の変動があることが知られている.皮疹の増悪する季節として,四季のいずれもあり得るが,割合としては夏もしくは冬が多いとされる1).皮疹の増悪にはさまざまな要因があるが,夏の場合は汗の影響,冬の場合は低湿度環境による影響が主である.
「KEY WORDS」アトピー性皮膚炎,汗,MGL_1304,Malassezia globosa