「A」口腔内の小唾液腺には口唇腺,頬腺,臼歯腺,口蓋腺,舌腺などがある.皮膚科で行われる小唾液腺生検では,簡便さと侵襲の少なさから口唇部が選択され,シェーグレン症候群の診断に用いられることが多い.外来の日帰り手術で,短時間で行うことができる簡便な検査方法である.小唾液腺生検の手技と併せて,いくつかの注意点についても留意しておく必要がある.
「1.手術手技」
①あらかじめ小唾液腺の位置をよく触診して確認する.下口唇の粘膜側と皮膚側を手指で挟むように軽く圧迫して触診すると,粘膜側に粟粒大ほどの小唾液腺を触知できる.下口唇の正中付近には少なくてやや外側寄りに多いため,小唾液腺組織を確実に採取できるような部位に切開線を決定する.なお,切開線が外側すぎるとオトガイ神経を損傷させる危険性がある.