「Summary」痒疹は比較的ありふれた疾患でありながら,明確な治療指針がつくられてこなかった.英国での疫学調査では8.2%の有病率との報告がある.わが国でも英国ほどではないが1.82%(67,448人中1,229人)などのデータがある.歴史的にはドイツ学派とフランス学派の間でその成立機序に論争があり,結果的に治療法にもその考え方の差が反映されていることも,痒疹の標準的な治療法が確立されてこなかった理由と考えられる.このようななか,佐藤貴浩先生(現防衛医科大学校皮膚科学教授)が委員長となられ,『慢性痒疹診療ガイドライン』(GL)が公表された.本稿ではこのGLを中心に,痒疹の病態と治療の最近の知見を取りまとめた.
「KEY WORDS」慢性痒疹診療ガイドライン/痒疹反応/多形慢性痒疹/ベニエ痒疹/結節性痒疹