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特集 メタボリックシンドロームとアレルギー

Topics 3.血管周囲の脂肪組織

Perivascular adipose tissue(PAT)

中溝聡椛島健治

皮膚アレルギーフロンティア Vol.13 No.1, 33-35, 2015

「Summary」肥満は2型糖尿病を代表とするさまざまな炎症性疾患を引き起こし,脂肪組織は肥満による炎症の制御に重要な役割を担っている.近年,内臓周囲や皮下だけでなく,血管周囲にも脂肪組織(perivascular adipose tissue;PAT)が存在することが明らかになった.PATは血管内皮細胞や血管平滑筋に作用し,血管緊張の調節や,さまざまなサイトカイン,ケモカインの産生により炎症を調節し,おもに心血管系疾患との関連が示唆されている.皮膚においてもPATの存在が明らかになり,血管周囲脂肪と皮膚疾患の関連も注目される.
「はじめに」肥満は,食生活の変化により,欧米だけでなくわが国においても健康における重要な因子である.肥満は2型糖尿病,心血管障害,乾癬などさまざまな疾患の発症リスクを上昇させるが,肥満におけるこのような合併症は,脂肪細胞の増大やその機能変化により引き起こされている.また,脂肪の機能は脂肪の存在部位や大きさなどにより異なる.本総説では,組織への血流や細胞の流入を調節するのに最適な部位に存在する血管周囲脂肪組織(perivascular adipose tissue;PAT)について解説する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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