特集 メタボリックシンドロームとアレルギー
肥満と自然炎症
Obesity and innate inflammation
皮膚アレルギーフロンティア Vol.13 No.1, 21-24, 2015
「Summary」外来抗原ではなく内因性の代謝産物をストレスシグナルとして自然免疫系の受容体が認識して起こる慢性炎症が,肥満と糖尿病・脂質異常症・高血圧症などの生活習慣病とをつなぐ病態として重要と考えられている.このメカニズムは外因性のシグナルによる自然免疫に対比して,自然炎症と呼ばれる.肥満症患者の脂肪組織では自然炎症による弱い慢性炎症が持続しており,炎症が全身に波及してインスリン抵抗性の増大や,血管壁のリモデリング,肝臓の線維化などが起こり,生活習慣病の形成につながる基盤的病態と考えられている.自然炎症による慢性炎症は,肥満症および生活習慣病の新たな治療ターゲットとしても注目される.
「はじめに」メタボリックシンドロームという概念が提唱され,生活習慣病が改めて注目されるようになって久しい.患者数は増加し,医療経済的な負担も今後ますます大きくなってくることが予想され,病態解明や治療法の開発が求められている.「KEY WORDS」肥満,生活習慣病,慢性炎症,自然炎症
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