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特集 口腔アレルギー

花粉症と口腔アレルギー症候群

Relationship between pollinosis and oral allergy syndrome

大澤陽子伊藤有未小嶋章弘須長寛高橋昇杉本千鶴河野陽子森繁人藤枝重治

皮膚アレルギーフロンティア Vol.12 No.3, 13-17, 2014

「Summary」口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome ; OAS)は,花粉吸入感作陽性者もしくはラテックス経皮感作陽性者において,アレルゲンが交差感作(交差反応)すること,すなわちIgE依存性によって口内のかゆみや腫脹など即時型の口腔症状が惹起されることをいう.その頻度は正確にはわからないが,日常臨床で果物を食べて口がかゆくなるという人の頻度は,最近増加しているように感じる.これまでOASに関する疫学調査は,シラカンバ花粉飛散が主の北海道や長野県で行われており,その他の県ではほとんど行われていなかった.そこで市街地にほとんどシラカンバが存在しない福井県において,耳鼻咽喉科外来を受診した6,824名に対してアンケート調査を実施し,OASの有症率を求め,花粉症,アレルギー関連疾患との関係,および採血を行ってpan-allergen(PR-10とLTP)に対するIgE感作の関与を検討した.その結果,OASは10%の有病率であった.OASは女性に多く,花粉症,気管支喘息,即時型食物アレルギー,ゴム手袋過敏症の既往歴をもつ患者に有意に多く認められた.花粉飛散期にOASの症状増減を認める患者は少数であり,花粉症症状に先行してOAS症状を自覚している人が最も多かった.OAS患者血清において,10種類のPR-10に属するallergen componentに対するIgEを測定したところ,9種類においてOAS症状なし群に比較して有意に陽性率が高かった.一方,LTPに属するallergen componentに対するIgE陽性率は9種類すべてきわめて低かった.シラカンバの生息があまりない福井県においても,進化の過程で高度に保存された蛋白質アレルゲンであるPR-10に対してかなりのIgE陽性率を認め,Bet v 1症候群となるOASを発症していることが判明した.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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